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時々友達とご飯を食べに出かける。なんだかんだみんな美味しいお店を知っていて、一緒に食事に行くのが楽しい。

いつかもそうやって友達と出かけた。行きたい店は決まっていて、その日までに既に2回トライしていたのだが、どうにも運が悪くて、2回とも閉まっていたのだ。店は私の職場から近いので、通勤の際に確かめておけば良かったのだが、前2回はうっかりしていてチェックするのを忘れてしまった。申し訳ない。

三度目の正直でやっと店に入れた。

カウンターでパフェを作っているところを見られるのが売りの店で、カウンター席は人気なので、並ばないうちに入ろうということで、少し早めに行った。長袖の薄い服を着て行ったのだが、五月のはじめにしてはかなり温度が高く、駅から歩くうちに汗をかいてしまった。友達を少し待っていると、白いシャツにジーンズでやってきた。ヒールを履いている。スニーカーが流行っているけれど、ヒールが好きだから履くんだと話してくれて、なんだか好感を持った。好きなものを着るのが一番良い。

オープンして間もない店にはまだそんなに客も入っておらず、私たちは望み通りカウンターの真ん中に陣取った。入る前からメニューはチェックしていて、何が食べたいか狙いは定めていたはずなのだが、土壇場になると意見が変わる。おそらく季節限定であろう桜のパフェ(正式名称は忘れた)を頼むはずが、多分ど定番のチョコレートパフェに変更してしまった。友人にも同じことが起こったらしい。

「その時食べたいものを食べるのが一番いいよね」

と話して、チョコレートパフェとメロンのパフェを頼んだ。

カウンターの中で、パフェが用意されていく。私ははじめから魔法のような技術が展開されるのかと思っていたのだが、意外とそんなことはなく、アイスクリームを形作り、クリームを載せ、クランチのようなものを削り入れ、と地道な作業が続いていく。美しいものは土台が大切なのだ。これで大丈夫なのかなと思って見ていたら、最後の方に大変美しいデコレーションがスルスルと施され、それほど時間をかけずに私たちのもとへパフェがやってきた。

しばらく二人でお写真タイムを楽しんでから、パフェを食べ始める。美味しい。美しいデコレーション部分も美味しいが、地道に作られた内部が美味しい。一番時間をかけて地味に組み立てたものが最も強いのはどんなことでも一緒なんだな、と妙に感心しながら食べた。

友達とは去年の年末以来会っていなかったので、近況報告が盛り上がった。

早めの時間に店に行ったので、食べ終わってもまだ昼時である。甘いものの後はしょっぱいもの、ということで、少し歩いて友達がずっと行ってみたかった店に向かうことにした。多くの飲食店が軒を連ねる街でもあるが、古い住宅も多い。また、「いかにも」と言った雰囲気の、お金をかけられているマンションや家もある。歩いていると楽しい。勾配が激しいので坂を登ったり降りたりしながら、店に向かった。

二軒目は台湾料理の店である。人気店らしく、人が並んでいる。3階にある店に入るために、まず1組目は2階の踊り場に並び、2組目は一回の看板前に並ぶ。そして我らはその後ろに並んだ。このシステムを理解するのはなかなか難解で、たまにやってくる店員さんのオペレーションのもとに移動した。並んでいる間も話す。

話していたからかもしれないが、それほど時間が経たないうちに店に入れた。店は大きくないが、賑わっている。空調はついておらず、真っ青な空を四角く切り取った窓から時々風が吹いてきた。名物の水餃子と、ルーロー飯、鳥飯のようなものを頼む。あまりにも天気が良すぎた。友達と話しながら、私はなぜか中学生頃の気分になっていた。開け放した窓から吹いてくる風を受けて、友達と話した教室。不思議な開放感だ。

あまりにも天気がいいので、食べ終わった後にもう少し散歩をしようということになった。しばらく歩くと広い境内の寺があるので、そこまで行くことにした。私はその日おろしたての靴を履いていて、少し足が痛かったのだが、もう少しなら歩けるな、と思った。

30分ほど歩く。30分歩くことの価値について、道中で話した。世の中には5分歩くだけで遠いという人もいる。かと思えば1時間歩くことを全く厭わない人もいる。東京に長く住むと、だんだん5分の距離でも遠く感じるようになるようだ、というような話をしつつ、寺に向かった。友達は、仕事でこの辺りを通ったことはあるが、プライベートで通るとはまさか思わなかったと教えてくれた。

寺は都心とは思えないほど緑が豊かだった。よく歩いたので座る場所を探して腰掛けた。再び話す。その寺のスズメが痩せているのではないか、という話題から始まり、ここにいると大変落ち着く、もしかしてこれがパワースポットというようなものではないだろうか、と話していると、そばにいたマダムが

「寺はお墓が集まっているからパワースポットではないが神社は神が集まっているからパワースポットだ。午前中に神社に行け。」

というようなことを教えてくれた。なるほど、と思う。

マダムはその後程なく去っていったが、私たちはまだ同じところで話続けた。

そうしているうちに、その辺りには蟻がたくさんいることに気づいた。放っておくと私たちの足の上にも乗ってくる。なんども足を振って蟻を落とした。

とりとめもない話をし、そろそろ帰ろうという話になった。蟻が付いてこないように体をふる。このまま家に連れていっちゃうかもね、と話した。

友達とは反対方向なので、駅で別れた。次はいつ会えるだろうなと思う。

電車の中で、その友達からメッセージがやってきた。

「蟻を連れてきちゃった」

とメッセージには書いてあった。

「そのまま家に連れて帰ったら」

というようなことを返信すると、蟻は永田町で乗り換えするときにベンチに一人で降りていったのだという。

「国会蟻員とは大出世」

というようなメッセージがきたので、思わず電車の中で笑いそうになった。

友達とご飯を食べに出かけるのは、楽しい。

 

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