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朝、少し遅れて仕事を始めることにして、その前に自動車免許を更新しに行った。ATだ。私は日本ではほとんど運転していないので、優良ドライバーだ。どういうわけか忘れたが、前回と前々回の免許更新にはわざわざ悪名高き鴻巣免許センター(地元から行くと2時間かかる。免許の試験の時は5時起きだった)まで行かなくてはいけなかったので、今回は近場の警察署で済ませられることになってほっとした。

とはいえ、警察署があるのは行ったことがない駅だったので、少し混乱した。電車のダイヤも乱れていて、乗り換え案内があまり使えない。間違った駅で降りてしまい、戻ったりなんだりしたが、無事に駅まで着いた。

駅からは徒歩8分だった。4月の晴れた空が美しく、でも、トレンチコートを着ていないと寒い。グーグルマップを見るとひたすら真っ直ぐだったので、ただ何も考えずに歩いた。

警察署は私と同じように免許を更新する人たちでごった返していて、正しい場所に着いたことに安心した。頼りなく更新ハガキを手に持って建物の中を進むと、受付の人が目ざとく私のハガキに気づいてくれて、

「更新ですね。免許も出しておいてくださいね〜」

と言ってくれた。財布の中にある免許を探していると、手が滑って財布を落としてしまった。受付の人が心配してくれる。こぼれ落ちたのは小銭2枚だけだったが、いい音がした。

小銭と財布を拾い、ポイントカードの山の中から免許を見つけて、受付に渡した。書類に必要事項を記入する。記入日時を書く時、いつも西暦か和暦か迷う。アメリカにいるうちに和暦の数え方がよくわからなくなってしまったので、公的な書類は西暦に統一してほしい・・・などと言ってはいけないだろうか。受付の人に書類を提出しながら尋ねると、

「どちらでも書いてもいいですよ」と微笑む。

「ただ、3とだけ書いてもらっても大丈夫です」

そう言ってペンを渡してくれたので、「3」と書いて、お渡しした。

そのあとは視力検査がある。私は視力検査にいい思い出がない。近視が酷くて小学校の頃から、みんなに見える輪っかの空いている方が全然見えなかった。看護師さんが紙に描かれた輪っかをわざわざ私の近くに持ってきてくれたことすらある。なので、視力検査となるといつも緊張するのだが、今回は3つの輪の途切れたところをすぐに完答できて誇らしく思った。

次は写真撮影だ。撮影があると思ったから眠い中起きて、ちゃんと化粧した。マスク生活でついぞ縁のなかった口紅も持って行った。撮影まで少しだけ時間があったので、鏡をみて顔をチェックし、カメラに顔を向けた。一度目は目を瞑ってしまったらしい。二枚めは無事に撮れた。

全てが滑らかに、流れ作業で進んで行く。そのベルトコンベアーの一員になると、虚無感と心地よさが自分の中に両立した。

最後は30分の講習だ。まずは東映が監修したビデオを観た。以前、『テレビの想い出』でテレビが苦手だった旨を書いたが、実は私は今でも事故を扱った映像は苦手だ。大人になったから自分をコントロールしながら観られるけど、とても緊張する。ビデオの中では、右折時の二輪車との衝突、右折時の歩行者との衝突、出会い頭の事故、あおり運転などについて言及していた。ああいった再現ビデオに出演している人たちは誰なのだろう?俳優さんなのだろうか。事故に遭う側の人はスタントマンなのか。

免許講習の途中、なんどもスマホを取り出して時間を確認したくなったが、堪えた。ビデオが終わったあとは、埼玉県で起きている事故について話を聞いた。埼玉県では、横断歩道前の一時停止の率が全都道府県の中でも、平均17パーセント程なのに対して11パーセント程と、悪いらしい。「上からお叱りがきたので」警察ではそこに気をつけて取り締まっているそうだ。

その話を最後に、免許講習は終わった。

30分間の同志だった人々が名前を呼ばれて免許を受け取り、部屋からさっさと出て行く。私は15番目に呼ばれて、免許を受け取った。

講習の間は、前の人の服の繊維の網目の数などを数えて楽しんでいたというのに、出てしまうともうそれが誰かもわからない。警察署から出て、免許証を確認すると、まあまあ悪くない写真だった。以前の免許と比べると、たれ眉になって覇気がなくなっているが、まあ年も取っているわけだから仕方ないだろう。前髪が一筋ひたいに落ちていて、謎の未亡人感が出ている。直せばよかったと思った。

帰りに最寄駅で、ご褒美としてパック寿司を買って帰ってきて食べた。

さて、仕事をしよう。

終わり。

 

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